がんの予防できるサプリメント?

#12. がんの予防できるサプリメント?

Q

最近インターネットでがんの予防に効くサプリメントを調べたところ値段も種類も様々な非常に多くの製品が見つかりましたが本当に有効なのでしょうか?

A

サプリメント摂取で癌の予防?

 多様な遺伝子の異常に因ると考えられる様々な癌に対してある特定のサプリメントを摂ることで全て予防しようというようなことは魔法の薬に近い話であると容易に想像できると思います。世の中には癌予防と宣伝されているサプリメントは数多く有りますが医学的に有効性が示されているのはごく一部ですしその効果も様々です。

 

コーヒーや赤ワインには抗酸化作用物質が含まれ、DNAの損傷を防いで癌を抑制する

 例えばコーヒーの成分のクロロゲン酸、赤ワインのポリフェノール、豆類のイソフラボン、にんにくのイオン化合物、ビタミンC・E、βカロチン、トマトのリコピンといった物質には抗酸化作用があり、活性酸素などによるDNAの損傷を防いで癌を抑制することが明らかになっています。1990年にアメリカの国立癌研究所が、疫学的なデータをもとにまとめた癌予防に効果のある食品の多くに抗酸化作用があることもよく知られています。

 

青魚に含まれるDHAやEPAは癌細胞の増殖を抑制し癌の予防や治療の効果を高める

 また青魚に豊富に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)は、プロスタグランジンE2を介した癌細胞の増殖抑制、さらには癌の予防や治療の効果を高めることが明らかになっています。実際毎日魚を食べている人は、大腸癌や乳癌や前立腺癌など欧米型の癌になりにくいと報告されています。

 

キノコに含まれるβグルカンは癌細胞を抑制する免疫に作用?

 またキノコに含まれる多糖類のβグルカンは、癌細胞を抑制する免疫のメカニズムに作用する可能性が指摘されていますし、睡眠関連ホルモンのメラトニンには抗酸化作用や免疫増強作用はじめ多くの抗腫瘍効果を有する可能性が臨床試験でも示されています。

 

マルチビタミンやミネラル、フルクトオリゴ糖や食物繊維にも癌の予防効果?

 マルチビタミンやミネラルは体力の消耗や栄養状態が悪化している時には有用と思われますがそれ以上の摂取の有用性は証明されていません。ただ塩分摂取量の多い地域のデータから過剰な塩分は胃の粘膜を荒らして胃癌の原因となることが示されています。 乳酸菌製品フルクトオリゴ糖や食物繊維などは、腸内細菌叢の乳酸菌を増やして腸内環境を介して免疫力を高めることで大腸癌の予防や感染症の予防に寄与します。

 

結局はバランスのとれた栄養を腹8分目

 結局多様な癌の予防には、夢のサプリメントに頼るのではなく、国立がんセンターのガン予防12か条にもあるように、毎日変化のある食生活で、塩辛いものや脂肪類は少な目に、適量のビタミンと繊維質のものを多く摂りながら、バランスのとれた栄養を腹8分目で摂るという柔軟な対応が肝要ということに落ち着きます。

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