カビは万病の元?

#34. カビは万病の元?

Q

 梅雨は特にカビに遭遇し易い時期ですが、そもそも人体にはどのような影響を与えるものなのでしょうか?

A

カビは温度25度以上、湿度80%以上で繁殖しやすい

 カビは地球上になんと8万種類も存在していますが、家庭内で見られるカビは約1020種類で、特に温度25度以上、湿度80%以上では繁殖しやすく梅雨時は冬の56倍に増えます。

 

人体への影響を疾患別に分類してみると

 

(1)  白癬

 白癬菌というカビによって引き起こされ、手足、爪、股、顔面などが好発部位のいわゆる水虫です。

 

(2) アレルギー性鼻炎、気管支喘息

 原因は様々ですが、アルテルナリアという黒色真菌が原因となる場合があります。水回りなど湿気の多い場所、壁の塗装面にも見られます。

 

(3) 夏型過敏性肺炎

 通常の肺炎のように細菌やウイルスが原因ではなく、塵やホコリにまぎれているカビによって起こります。原因は黒色酵母で風呂場や、排水溝のふたなどに発生し、低温でも死にません。

 

(4) 職業性の過敏性肺炎

 様々な職業でみられますが、例えばキノコ栽培業者はキノコの胞子を吸入することで、酪農家は干し草の中にいる好熱性放射菌というカビが原因で過敏性肺炎(農夫肺)を起こすことがあります。

 

(5) アスペルギルス症

 アスペルギルスの別名はコウジカビでみそ、しょうゆ、酒などの発酵にも使われています。食品、畳、カーペット、衣料品、エアコンダクトなどに潜みます。免疫力の低下した人の肺に入ると肺アスペルギルス症の原因となり重症化する場合があります。

 

(6) クリプトコッカス症

 鳩の糞などに見られるクリプトコッカス・ネオフォルマンスという真菌によって生じ、免疫機能が低下していると髄膜炎や肺炎を起こし最悪のケースでは死に至ります。

 

(7) 食中毒

 まれですがアフラトキシンなど毒素を作るカビによって生じるもので穀類やナッツ類に多く、腹痛、下痢、嘔吐などが症状です。 

 

(8) がん

 アスペルギルス等が産生するカビ毒であるアフラトキシンには発がん性物質が含まれていて大量に摂取した場合に危険とされています。

 

(9) カンジダ感染症

 カンジダは皮膚や腸管、女性の生殖器などに存在する常在菌で、体力低下時や抗生剤使用で増殖し、口腔内に白苔がついたり女性では白いおりものが多くなりかゆみが出ます。

 

(10) 澱風(でんぷう)

 常在のマラセチアという真菌が原因の皮膚の病気で、汗が多い人や抵抗力が落ちた人で発生しやすくなります。胸やわきの下、背中などに薄い褐色、白、黒などの発疹ができます。    

 

カビの予防法は

 (1)除湿(湿度が65%以下ならカビは発育できません)、

 (2)HEPAフィルター搭載の空気清浄機の活用(高精度のフィルターで浮遊するカビの胞子を除去)が  効果的です。

 ちなみにカビ胞子は非常に耐熱性が高く死滅させるには120度以上で60~120分程度の加熱時間を 必要とします。

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