ゾフルーザはインフルエンザに効かない? |
#48. ゾフルーザはインフルエンザに効かない?
Q |
先日テレビで昨年発売された新しいインフルエンザの治療薬で初日に1回内服するだけでよい大変便利な薬が、実はあまり効かないような報道をしていました。私も昨年インフルエンザに罹った際に近所のクリニックでこのお薬を処方していただきすぐに熱も下がりとても助かったのですが、今後は使用しない方がいいのでしょうか? |
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A |
一昨年人気だったインフルエンザの新しい治療薬「ゾフルーザ」は今季はお薦めではない?今季は、過去20年で2番目に早くインフルエンザが流行し始めていますが、一昨年3月に発売された新しい治療薬「ゾフルーザ」は「初日に1回のむだけでいい」と話題になり、前回の流行期には最も多くの 約4割にあたる推定約427万人の患者さんに使われました。 ところが、関連学会が昨年10月に、子どもに使うことを積極的に勧められないという意見をまとめました。
国内では常時インフルエンザウィルスの監視が行われている国立感染症研究所では現在もインフルエンザ治療薬の代表的な薬剤に対して継続的に薬剤耐性(薬が効きにくい)株のサーベイランスを実施して、日本全国の定点観測医療機関から定期的に検体を収集して分離されたウイルスの遺伝子解析により、薬剤耐性マーカーや薬剤感受性試験の集計結果を随時インターネット上でも公表しています。
「ゾフルーザ」を服用した場合に小児患者の23%に変異ウイルスが検出こうした厳重な監視体制のもとで、昨年度「ゾフルーザ」を服用した場合にアミノ酸変異のあるウイルスが小児患者の23%、成人では10%程度に検出されたと報告され、耐性ウイルスが特に小児において 出現しやすいことが話題となりました。 また東京大学のグループが「ゾフルーザ」に耐性のあるウイルスが、通常のウイルスと同じ程度の 感染力を持つとする研究結果を発表し、「家庭などでは耐性ウイルスが広がる可能性があり注意が必要だ」としています。
「ゾフルーザ」は、タミフルに比べて有効性・安全性に有意差はなし実は「ゾフルーザ」は、タミフルに比べて有効性・安全性に有意差はなく、しかもタミフルの安価な後発薬品と比べて薬価は3.5~5倍となり経済性は劣るため、今期のインフルエンザの第一選択薬としては、タミフルの後発薬を採用している医療機関も少なくありません。
「ゾフルーザ」は温存しておくべき新しい機序の治療薬今後は「ゾフルーザ」においては効果と耐性の出現状況を確かめながら大切に使い、タミフルなどの 従来からの薬剤に対する耐性ウイルスが蔓延する事態になった場合の切り札として温存しておくべき新しい機序の治療薬であると考えられます。 抗生剤の例からも明らかなように、感染症の治療はそれに対する耐性化との戦いの歴史でもあります。インフルエンザの場合も、初日に1回だけの内服ですむという利便性を追求するあまり、将来の切り札となり得る薬をみすみす失うことの無いように、「ゾフルーザ」の使用においては、耐性化を強く意識しながらの慎重な対応が望まれています。 |
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