ピンピン・コロリと逝くためには

#64. ピンピン・コロリと逝くためには?

Q

  先月米国在住の親友の奥さんが昼食時になっても食卓に現れない友人を不審に思い書斎に見に行くと、ソファー椅子に座ったまま眠っているように息を引き取っていたそうです。趣味のインターネットの囲碁対戦中にポックリ亡くなったそうです。特に持病も無く、元剣道4段の聡明なスポーツマンでした。

 82歳とは言えあまりにも突然のことで思わず息を飲んだのですが、考えようによってはまったく苦痛も無く理想的な最期で、逆に羨ましいようにも思えてきました。

 こんなふうにピンピン・コロリと逝くためにはどうすればいいのでしょうか?

A

日本人の平均寿命は世界でトップクラス

 生き物には皆定められた命があり、亡くならない生き物はいなくて致死率100%の存在とも言えます。

 そして日本人の2019年時点での平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳で、世界でトップクラスです。

 また健康寿命とは健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる(介護を要しない)期間のことで、同じ時点で男性72.68歳、女性75.38歳となっています。

 そして(平均寿命)(健康寿命)(介護を要する非健康寿命)で、男性8.73歳、女性12.07歳となります。

 

健康寿命を損なうのは循環器疾患、認知症、衰弱、骨折・転倒、関節疾患

 健康寿命を損なう要因としては循環器疾患(脳卒中と心疾患)、認知症、衰弱、骨折・転倒、関節疾患が多くを占めており、これらで原因の3/4を占めています。

 また、身体機能を損なう要因としては、糖尿病、運動不足、肥満、喫煙、高血圧の順に影響力が大きいと報告されています。

 

人は血管と共に老いる

 ところで『人は血管と共に老いる』これは今から100年以上前にアメリカのジョンズ・ホプキンズ大学で近代医学教育の基礎を作ったウィリアム・オスラー博士の有名な言葉ですが、前記の要因の多くもこの動脈硬化と密接な関係にあると言えます。

 「高血圧」「糖尿病」「高脂血症」の3つを合併すると動脈硬化のリスクは掛け算的に増大するため『死の三重奏』とも言われ、これらに「喫煙」を加えて『死の四重奏』として警鐘が鳴らされてもいます。

 

循環器疾患の発症予防に心血管健康指標(7項目)を

 米国心臓学会は循環器疾患の発症を予防するために心血管健康指標(7項目)を提唱しています。

 1)喫煙しない  2)適度な運動  3)正常血圧(120/80 mmHg未満) 

 4)正常血糖(空腹時100未満、食後160未満、単位mg/dL) 

 5)高脂血症の予防(特に悪玉コレステロールのLDL-C)  

 6)肥満の予防 (肥満指数BMI 25未満)  

 7)健康的な食習慣(野菜1350g以上、主菜は肉類を減らし植物性や魚類を増やす、

   精白していない穀物(全粒穀物)の摂取、塩分制限、加糖飲料の制限)

 

平均寿命=健康寿命、これこそがピンピン・コロリ

  高齢化が急速に進む日本においては、国民一人ひとりの生活の質を維持し、社会保障制度を持続可能なものとするためにも、平均寿命の伸びを上回る健康寿命の伸び、即ち、健康寿命と平均寿命との差を縮小することが重要となっています。

 そしてその究極が平均寿命=健康寿命、つまり非健康寿命が0歳の場合で、亡くなる直前まで元気な状態、これこそがピンピン・コロリなのです。

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