マイクロRNAのがん検診とは? |
#22. マイクロRNAのがん検診とは?
Q |
先日知人が血液でできる高感度の癌検診のマイクロアレイを受けて、消化器系の癌が見つからなくて安心したと言っていました。最近テレビでマイクロRNAの癌検診が開発中だとの報道を観ました。似たような検査なのでしょうか? |
---|
A |
二人に一人が癌にかかる時代高齢化社会の到来と共に、日本人の二人に一人が癌にかかり、三人に一人が癌で亡くなる時代となりました。健康志向の高まりとも相まって癌検診にも関心が高まっています。
癌検診の現状は現在一般に行われている癌検診は、肺癌の肺レントゲン、胃癌の胃透視、大腸癌の便潜血検査、前立腺癌の血液でのPSA、子宮頸癌の細胞診、ヒトパピローマウィルス検査、乳癌のマンモグラフィです。更に精度を上げるために胃・大腸カメラやCT、MRI、ペットCT等を併用する場合もありますが、総じて受診者の手間や身体的負担、放射線被爆の問題等からか、一般の癌検診の受診率は3割程度にとどまっているのが現状です。 血液検査でできる癌検診このため血液等を用い受診者の負担を極力軽減した『低侵襲』で、信頼性が高い『高感度』な、さらに一回の検査で多種類の癌について検査できる『網羅的』な検査法が望まれています。従来の血液検査で可能な腫瘍マーカーは40種類程度ありますがPSAを除いて主に進行した癌の治療効果を判定するために使われているのが現状で、初期の癌を検出するには適した検査とは言えませんでした。
マイクロアレイとマイクロRNAこのコーナーでも以前にご紹介しましたが、マイクロアレイは癌の発生に敏感に反応する免疫細胞関連の約2600個の遺伝子の発現パターンを網羅的に調べることで胃、大腸、膵臓、胆道の4臓器の癌の有無を一度に非常に高感度で判定する検査です。一方今回のマイクロRNAはまったく別で、日本発の優れた癌の診断法を目指して国立がんセンターと企業が協力して2014年から5年間かけて現在も開発中の検査法です。
マイクロRNAとはそもそもマイクロRNAとはDNAから写し取られた短い(小さな)遺伝子のかけらのようなもので、他の遺伝子の発現を調節する機能を有し様々な生命現象に関与していることが最近の研究で解ってきました。ヒトのマイクロRNAは2500種以上知られていますが、癌特有のマイクロRNAは癌の転移や病態変化などに関与していて、患者の血液中でその種類や量が変動します。これまでにない新しいタイプの腫瘍マーカーとして大変有望視されている所以です。このような検査を何種類か組み合わせて採血1本で全ての癌が早期発見できるようになるのも、意外と近い将来なのかも知れません |
---|