今年の季節外れのインフルエンザの大流行の原因は? |
Q |
27歳の会社員です。新型コロナ感染が起きるまでは、例年インフルエンザは11~12月頃に流行が始まり、1~3月にピークを迎えていましたが、今年は真夏から秋にかけてかなりの流行がありました。 これは新型コロナ感染の影響でしょうか? またこのままいくと今年の冬はインフルエンザの大流行となるのでしょうか? |
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A |
もともとインフルエンザウイルスは渡り鳥の腸内で増えるウイルスもともとインフルエンザウイルスは渡り鳥の腸内で増えるウイルスでしたが、人間の生活圏にいるアヒルや豚へと宿主を変えて感染を広げ、変異を繰り返した結果、人間にも感染するようになったと言われています。 このウイルスは、湿度が20%以下の乾燥した空気と、気温が20度以下という条件が重なった環境下で活発になる性質があります。このため、インフルエンザが特に流行しやすいのは、12月から3月頃で、1月下旬から3月上旬にそのピークを迎えます。寒さ対策のために窓を閉め切って暖房を使うことが感染し易い環境となります。
新型コロナが発生以来、冬のインフルエンザの流行は消失ところが新型コロナが発生して以来、2021年、22年と2シーズンにわたって冬のインフルエンザの流行がまったく起きず20世紀以降無かった現象となりました。この背景にはやはり世界中で新型コロナの感染対策が徹底されたことが最大の理由であったと考えられます。
9月に学校が新学期を迎えると、インフルエンザの流行が一気に拡大国内では今年の4月以降もインフルエンザ患者は少数ながら発生していましたが、それは流行がしばらくなかったため、国民のインフルエンザへの免疫が低下していたことに加え、新型コロナの感染対策が緩和されたことが影響していると考えられます。 そしてその後も6月から8月の夏の間、例年なら流行が完全に収束している時期も、インフルエンザ患者の発生はわずかながら続き、そして9月に学校が新学期を迎えると、学童や学生を中心にインフルエンザの流行が一気に拡大していったのです。
米国では昨年1月に一足早くインフルエンザの流行が復活海外でも米国では昨年1月に一足早くインフルエンザの流行が復活し6月ごろまで少数の患者発生が続きました。そして、例年より早い昨年11月から次の冬の流行が始まり新型コロナ前を超える大きな流行となったのです。
新型インフルエンザが5月から確認され、夏以降に大流行した現象とも類似また今年の南半球では、インフルエンザは冬が始まったばかりの6月にピークとなりましたが、やはりインフルエンザへの免疫が低下していることが大きな要因になっているようです。 こうした現象は従来の株から大きく変異した2009年の新型インフルエンザウイルスの出現によって季節外れの5月から感染者が確認され、夏以降感染者が爆発的に増加した現象とも類似しています。
我が国もこのままいくとインフルエンザが新型コロナ流行前より流行ることが懸念我が国のインフルエンザもこのまま高いレベルの流行状況が続き、昨年の米国のように11月ごろから本格的な流行が起きると、患者数は新型コロナ流行前より多くなることが懸念されます。
インフルエンザワクチンの接種が最も効果的な備えこれに備えるためには、やはりインフルエンザワクチンの接種が最も効果的な対策で、国民の大多数でインフルエンザへの免疫が低下している今年は、高齢者や免疫力低下が考えられる方々中心に例年にも増して積極的な接種が望まれます。 |
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