冬に流行するRSウイルスとは? |
Q |
新型コロナ感染の第9波も収束しやっと一息と思う間もなくインフルエンザA型が例年になく流行しています。昨春には通常冬に流行るRSウイルス感染が多かったそうですがRSウイルス感染とは何でしょうか? |
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RSウイルス感染は冬に流行する主に小児の感染症RSウイルス感染というと冬に流行する小児の感染症というイメージをお持ちの方も少なくないと思いますが、実際患者の約75%以上が1歳以下の乳幼児であり、生後数週間から数か月に 初感染すると肺炎などを併発し、重症化することがあります。
世界における死亡原因の第4位しかし日本では毎年60歳以上の成人でRSウイルス感染症によって63,000人の入院と4,500人の院内死亡が推定されていますし、WHOからは世界における死亡原因の第4位であることが報告されていますので、小児のかかる特殊なウイルスと言う訳ではなく、インフルエンザとも肩を並べるポピュラーなウイルスと言えます。
RSウイルスを訳すと「呼吸器合胞体ウイルス」そもそもRSウイルスという名称自体が解り辛いのですが、元の英語を訳すと「呼吸器合胞体ウイルス」となり更に解り辛くなるので通称『RSウイルス』となっていると思われます。
重症化のリスクを抱えた方は要注意潜伏期間は4〜6日で、症状は軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々です。低出生体重児や心臓や肺の疾患、免疫不全のある方は重症化のリスクが高いと言われています。 初めて感染した場合は症状が重くなりやすく、また終生免疫は獲得されないためどの年齢でも再感染は起こりますが、一般的には年長児以降健康な成人では重症化はしません。
重症化リスクを有する乳幼児には特異的抗体薬が使用可能治療法はかぜと同様、症状に応じた対症療法が主体ですが、上記の重症化リスクを有する乳幼児にはRSウイルスに対する特異的抗体薬であるパリビズマブ(商品名;シナジス)を流行する秋から春にかけて、月1回の筋肉内注射で継続して行い予防することも可能です。
成人を対象とする組換えRSウイルスワクチンが初めて承認また昨年9月に60歳以上の成人を対象とする組換えRSウイルスワクチン「アレックスビー筋注用」がRSウイルスワクチンとして日本でも初めて承認され、近日販売予定となっています。
空気の乾燥は呼吸器系のウイルス感染が流行する理由のひとつ冬は空気が乾燥するためウイルスを含む飛沫の水分が蒸発して軽くなり、空気中に浮遊して広範に伝播しやすくなることもこのような呼吸器系のウイルス感染が流行する理由のひとつと言われています。 また昨春にRSウイルス感染が多かったことは、新型コロナ感染が一段落し規制が緩和されたことも大きな要因のひとつとも考えられます。
今年の秋にはまたワクチンが増えるかも今年の秋にはインフルエンザ、新型コロナに加えて、RSウイルスのワクチンも一緒に接種しましょうという話になるかも知れません。 いいかげん打たれる方も打つ方もワクチン接種には辟易としているでしょうから、一層の事、冬の呼吸器ウイルス3種混合ワクチンでも作っていただき、1回の接種で済ませられるようにしていただきたいものです。
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