尿酸値が低くても痛風発作?

#51. 尿酸値が低くても痛風発作?

Q

 61歳男性、最近健診でメタボの診断を受けるようになりましたが、尿酸値は以前から6mg/dL以下の正常でした。1週間前から急に左足首に強い痛みと発赤、腫れが出現したため整形外科受診して、精査の結果やはり尿酸値は5.6mg/dLと正常で、最終的に偽痛風と診断されました。

聞き慣れない偽痛風とはどのような病気でしょうか?

A

風が吹いても痛い「痛風」!

 急性の単発性の関節炎では、細菌に因る感染性の関節炎が除外できれば結晶誘発性の関節炎の可能性が高いと言えます。その代表格が痛風です。

 痛風は高尿酸血症の状態が年余にわたり継続すると、関節内に尿酸の結晶として析出し、発赤、腫脹、疼痛を伴う激しい関節炎をきたす尿酸塩結晶が誘発する急性関節炎です。

 風が吹いても痛いということで、「痛風」と呼ばれていますが、98%が男性で年齢的には40歳以上の人に多く見られます。

 確実な痛風の診断は、発作中の関節の中に尿酸の結晶があることを証明することですが、通常は血中尿酸値が高く痛風特有の臨床症状があれば診断は可能です。

 

尿酸以外の結晶に因る関節炎が偽痛風

 尿酸以外のピロリン酸カルシウム(CPP)やハイドロキシアパタイトに代表される塩基性リン酸カルシウムの結晶に因る関節炎を偽痛風と呼んでいます。

 発作の症状が痛風の発作に似ていることから付けられた病名で、特に前者CPPに因る関節炎が偽痛風の代表格です。

 高齢者の主に膝や足首の関節を中心とした大きな関節の痛みを特徴とします。男性も女性も同様に起こります。レントゲンでは関節の中に石灰化が見られます。

 確定診断は関節液穿刺を行い細菌検査と偏光顕微鏡検査の実施が標準と言われています。またCT、MRI、関節エコー等に依る画像診断も有効な補助診断となります。

 

偽痛風の発作は前兆もなく突発的

 痛風の場合には発作の前に何かモヤモヤとした前兆のような症状があり、この時に予防薬を内服すると抑えることとが可能な場合があります。

 それに対して偽痛風の発作は何の前兆もなく、かなり突然に関節または関節周囲が赤く腫れ、やはり関節をあまり動かせないほどの強い痛みを伴う急性炎症を起こします。詳細な原因は未だ解明されていません。

 

発作時の治療は両者とも消炎鎮痛薬

  発作時の治療は両者とも共通で、消炎鎮痛薬の内服や局所麻酔剤入ステロイドの関節内注入も効果的です。無効時にはステロイド内服も併用します。

 ちなみに痛風発作時に血清尿酸値を変動させると発作の増悪を認めることが多いため,尿酸降下薬は痛風発作が治まってから長期間服用し、緩徐に下げていきます。

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