帯状疱疹の新しいワクチン? |
#49. 帯状疱疹の新しいワクチン?
Q |
高齢の父親が5年ほど前に帯状疱疹のワクチン接種をしていますが、最近新しいタイプのより効果的な ワクチンが開発されたと聞きました。 そのワクチンを再度接種したほうが良いのでしょうか? |
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A |
帯状疱疹の原因は水ぼうそうと同じウイルス帯状疱疹とは水ぼうそう(水痘)にかかり治ったあとも、実はウイルスが体内の神経に潜んでいて、加齢やストレス、過労などが引き金となって免疫力が低下した際に再び活動を始め、強い痛みを伴う赤い発疹に続いて水ぶくれが体の左右どちらかに、神経に沿って帯状に出る病気です。 発症後は出来るだけ早期に抗ウイルス薬での治療開始が後遺症の激しい痛みの予防につながります。 年齢的には50才から増え始め80歳までに約3人に1人がかかると言われています。
帯状疱疹の新しいワクチン『シングリックス』帯状疱疹を予防する目的でこれまでは、小児の定期接種となっている水ぼうそうのワクチン(水痘ワクチン)が希望される高齢者に使用されてきました。 このワクチンは帯状疱疹の発生率を半減し、帯状疱疹後神経痛の発生率も6割ほど低減する有効なワクチンですが、生ワクチンのため免疫力が強く低下している方には接種できませんでした。 そこで今回海外で開発されたのが更なる有効な不活化ワクチンである『シングリックス』です。しかし我が国でも2018年に承認されながら品薄で永らく発売待ち状態が続き、今年初めからようやく販売が開始されました。
『シングリックス』の予防効果は驚異の97.2%シングリックスはサブユニットワクチンという、遺伝子組み換え技術を応用して開発されたさらに進化した不活化ワクチンで、免疫を活性させる物質(免疫賦活剤、アジュバント)を加えてワクチンがつくられています。 そしてその予防効果は97.2%と驚くべき結果で、年齢による効果の差も無く、また後遺症の神経痛の予防効果も88.8%と高い数値がはじき出されています。またその予防効果は10年後も安定していますので数年以内に再接種する必要は有りません。 さらに不活化ワクチンですから免疫力の低下した方でも接種が可能です。 短所はアジュバントを含むため副反応(注射部位の赤み、腫れ、痛みなど)の頻度が高いことですが、多くはは軽度~中程度で、大部分は一過性でした。また価格が水痘生ワクチンの2倍以上とかなり高価なうえ、2か月から半年以内の時期に2回目の接種をしないと十分な予防効果が得られないことも挙げられます。
高齢者や免疫力の低下した方には特にお勧め国内での帯状疱疹の増加の背景には、少子高齢化の他に、小児の水痘ワクチンが定期接種化された結果、家庭内で水ぼうそうのウイルスに接触する機会が減ってしまったことが挙げられます。 また今後高齢者の帯状疱疹患者の重症化も懸念されていますので、高齢者や免疫力の低下した方は以前に水痘生ワクチンを接種された方も含めて積極的にシングリックスで予防を心がけていくことが望まれます。 幸い名古屋市では今年3月から全国に先駆けて帯状疱疹ワクチンの半額補助制度が始まっています。 詳細は名古屋市のHP等をご参照下さい。 |
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