怒りはコントロール出来る?

#52. 怒りはコントロール出来る?

Q

61歳男性、若いころから短気で自分でも瞬間湯沸かし器だなと分かっていますが止めようがありません。

家内にはいつも「かっとなったら大きく深呼吸しなさい!」と言われますが全く効果有りません。

心を静める何かよい方法はないでしょうか?

A

そもそも「怒り」とは

 そもそも「怒り」とは心理学においては「自分を守るための感情」と言われています。

悲しみや悔しさ、不安などの感情がその容量を超えてしまうと、それらの感情を含んだ「怒り」として表にあふれ出てしまいます。即ち怒りの根底には、複雑に絡み合った悲しみや不安などという感情が存在し、怒りは心の容量を超えた混沌とした思いを発散し、過剰なストレスを回避する防衛反応の役割を担う側面が考えられています。

 

アンガーマネジメントは怒りと上手に付き合う方法

 そして『アンガーマネジメント』といって感情を自分の中で整理し客観視することで怒りを適切にコントロールし、問題解決を図るスキル、即ち「怒りと上手に付き合う」方法があります

 アンガーマネジメントは、1970年代のアメリカで認知行動療法(※1)がベースとなり、精神療法を受けている人や感情労働(※2)の職種についている人を対象に開発実施されてきた怒りの感情と上手に付き合っていくメソッドで、ポイントは怒らないようにするのではなく、「怒るべき部分」と「怒る必要のない部分」を区別していくことです。

 

アンガーマネジメントがトレンド

 アンガーマネジメントは『怒りに対する適切な態度を取ること』を目標とし、近年の日本でもこの考え方が注目され研修などに取り入れる企業が増加しています。

 アメリカなどでは、アンガーマネジメントが小学校の授業に取り入れられているところもあり、広く認知されている技術です。裁判所からアンガーマネジメントのカウンセリングを受けるように、という判決が下されるケースもあります。

 

アンガーマネジメントをマスターして「怒りの達人」に変身

 アンガーマネジメントを身に付けることで、家庭や職場など人と人の感情が触れ合う場所で、効果が期待されます。たとえば、「他に急ぎの仕事があり、まだ依頼した仕事ができていません」と返答をした部下がいて、あなたは怒りを感じたとします。しかし、アンガーマネジメントを身に付けていると、「部下に仕事を依頼しすぎた」「マネジメントが甘かった」といった別の視点を持ち、怒りの感情を沈静化することが出来るのです。

 カッとなったら瞬時に視点や捉え方を変える訓練を日々重ねていくことで、是非「怒りの達人」に変身してください。

 

※1   認知行動療法とは、物事の捉え方や考え方(認知)、感情、身体反応、行動の相互作用に注目し、より幅の広い考え方をすることで、感情や行動の変化を目指す心理療法です。

 

※2  感情労働とは、自分自身の感情のコントロールを求められる仕事で、辛い状況であっても「笑顔で、やさしく」を表現しなくてはならない仕事です。教師、看護師など医療従事者、カウンセラーや客室乗務員などの仕事も感情労働と言えます。

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