食中毒は秋に多い? |
#45. 食中毒は秋に多い?
Q |
湿度と気温の上昇する梅雨から夏にかけては食中毒に注意するようによく言われますが、実際には秋の方が多いのだとか聞きました。本当でしょうか? |
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A |
食中毒の原因は様々食中毒の定義は有害な微生物や化学物質を含む飲食物を食べたときに生じる健康被害のことです。病因は細菌、ウイルス、毒性物質等様々で、発生状況もそれにより異なります。
集団の食中毒の発生の大部分は、冬はノロウイルス、夏は細菌厚生労働省の統計資料によると、二人以上の集団食中毒の発生事例の月別発生件数は冬季が最も多く、その要因は圧倒的にウイルス性でしかも大部分はノロウイルスです。それはこのウイルスの感染力の強さと、感染者から排出されるウイルス量の多さに因ります。 他方、夏季に多く発生するのは細菌性食中毒で、この時期の食中毒の70~90%を占めます。
単独の食中毒の発生のピークは自然毒による食中毒が増える秋単独の食中毒の発生事例の場合は年間で9月から10月に最大のピークがあります。秋は行楽シーズンでバーベキューや運動会、お祭りなど野外での食事が増えることも影響しています。 単独の食中毒の原因物質別でみると、確かに細菌性の食中毒だけでは6月から8月にピークがあり、高温多湿の気候が影響していることが伺われますが、9月・10月は旬を迎えるキノコやフグなどの自然毒による食中毒の増加も影響しています。また秋には寄生虫による食中毒も多く、その9割以上を占めるのがアニサキスです。サバ、サケ、アジ、イカ、イワシ、サンマなどに幼虫が寄生していて、代表的な胃アニサキス症では寄生した生魚を食べてから、通常2~8時間後に激しい腹痛、悪心、嘔吐をきたします。胃カメラでの確認と除去が可能です。アニサキス幼虫は冷凍や加熱で死滅しますが、食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびでは死滅しない点が要注意です。
細菌性食中毒の代表はカンピロバクター、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、大腸菌、腸炎ビブリオ菌 等代表的な細菌性食中毒は、カンピロバクター菌:特に鶏肉を調理する際は、十分に加熱が必要で、潜伏期間は2~5日。 サルモネラ菌:夏から秋に多く、加熱不足の食肉や生卵が主な原因で潜伏期間は半日から3日程度。 黄色ブドウ球菌:ありふれた常在菌ですがこれが産生する加熱抵抗性の毒素が原因物質となり食中毒症状を起こします。潜伏期間1~3時間と短くおにぎりや弁当、生菓子等の食中毒の代表格。 О-157などの腸管出血性大腸菌:生や加熱不足の食肉が主な原因で、潜伏期間は2~8日程度。 腸炎ビブリオ菌:主に魚介類が原因で、汚染した調理器具や手指などを介しても発生しますが真水の流水処理が有効です。潜伏期間は短く、6~12時間程度。 ウェルシュ菌: 無酸素状態でも増殖するためカレー、シチュー、スープなどの煮込み料理を大量に調理する給食施設などで発生することもあります。潜伏期間は短く、6~18時間程度。
食中毒の予防のポイントは菌を付けない、増やさない、やっつける食中毒の予防のポイントは 1)よく洗いまた密閉することで菌を付けない 2)低温で保存することで菌を増やさない 3)十分な加熱調理や器具の熱湯消毒で菌をやっつける ことです。 |
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