柿を食べ過ぎると胃に石ができる? 『柿胃石(かきいせき)』とは?

#57. 柿を食べ過ぎると胃に石ができる? 『柿胃石(かきいせき)』とは?

Q

 先日親戚の叔父が好物の干し柿を5-6個食べた翌日に激しい腹痛で救急搬送されて、結局腸閉塞で緊急手術となってしましました。     

 原因はおなかの中にできた柿の石だったそうですが、そのような事が有るのでしょうか?

A

柿が赤くなると医者が青くなる

 昔から「柿が赤くなると医者が青くなる」という諺がありますが、これは柿が赤くなる秋は天候が良いので、体調を崩す人も少なく、医者は商売にならずに青ざめる、という意味です。

 またこれにはおそらく、柿の健康効果も手伝って生まれた諺であるとも考えられます。収穫の秋には美味しい果物もたくさん出回りますが、中でも柿は熟柿・合わせ柿・干し柿・冬柿といった味わい方も豊富な健康食品の代表格と言えます。

 

柿にはビタミンC、カロテノイドなどの豊富な健康成分が含まれる

 柿にはたとえば免疫力アップや美肌の育成・維持などに重要なビタミンCにおいて、キウイをも上回って、レモンの約1.4倍も含まれています。

 また老化防止などに効果が期待できるクリプトキサンチンやリコピンなどのカロテノイドも含まれています。

 さらにはタンニンの一種で、アルコールの害を抑える効果が期待できて、二日酔いの予防や緩和に役立つ成分も含まれています。

 

 

柿の渋みの主成分であるシブオールが『柿胃石症』の犯人

 ところが「過ぎたるは及ばざるがごとし」、柿の渋みの主成分であるシブオールが胃の中で酸などと合わさり、周りの食物繊維などを巻き込んで非常に硬い石ができる病気があるのです。

 これが柿の食べ過ぎで発症する『柿胃石症』なのです。

 

 

胃石(いせき)とは胃の中で固まって蓄積したもの

 そもそも胃石(いせき)とは胃の中で部分的に消化されたものや消化されなかったものが集まって固くなったもので、比較的短時間にできます。ほとんどの場合胃に蓄積しますが、消化管の他の部分に蓄積することもあります。

 胃の出口を塞ぐと、腹痛、膨満感、吐き気、嘔吐などの症状が出ます。また胃の壁に当たっていると胃の粘膜を傷つけてびらんや潰瘍を形成して出血を引き起こすこともあります。更には消化管に穴をあけてしまい(消化管穿孔)腹膜炎を合併する場合もあるようです。

 そして胃の中にできた石が腸に流れて詰まると、腸閉塞になってしまい緊急手術で摘出しなければならなくなります。

 年齢とともに胃酸の分泌が少なくなるので、高齢者の方は特に注意が必要です。

 こうした柿胃石は胃石の中で最も多く、7~8割を占めます。

 

胃石の診断は通常は胃カメラ(内視鏡)

 胃石の診断は通常胃カメラ(内視鏡)で直接観察しますが、また一部を採取して顕微鏡で調べて、その成分を確認することもあります。

 その他CTや超音波(エコー)でもある程度診断が可能な場合もあります。

 

治療法はユニークな「コーラ療法」

 治療法にはユニークですが実際の医療現場でも用いられている「コーラ療法」があります。コーラの成分の炭酸が石の中に入り込み、石がだんだん溶けてある程度の大きさになった後に内視鏡を使って砕く方法が効果的だとされているようです。

  柿は美味しいけれど、食べ過ぎは禁物。

食べる量は、大体1日1個か2個くらいを目安にしてくださいね。

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