たばこは肺機能低下、発癌、動脈硬化をきたす

　喫煙はまず肺の組織そのものに対するダメージを与えますので、肺機能が低下し、進行すると慢性の呼吸不全につながります。また毎年世界で300万人が喫煙が原因とみられる癌や心臓病で亡くなっています。たばこは、肺がんだけでなく鼻腔、口腔、咽頭、胃、肝臓、子宮頚部、腎臓の癌も増加させます。さらに脳卒中や心筋梗塞といった動脈硬化性疾患のリスクも上げます。特に糖尿病、高血圧症、高脂血症、肥満といった生活習慣病のある方では更にそのリスクが高まります。

たばこは男女とも不妊症の原因となり得る

　また若い方にとっては、喫煙は男女とも不妊症の原因となり得ること、また胎児や乳幼児への影響も懸念されています。

たばこが止められないのは身体的なニコチン依存症と精神的依存症

　たばこが止められない主な理由はふたつあり、ひとつは身体的なニコチン依存症で、禁煙すると禁断症状からイライラし落ち着かなくて止められません。もうひとつは精神的依存症で、たばこを吸わないと何となく物足りない、いつもの習慣からはずれてしまう不安感から止められません。

チャンピックスはニコチン依存症の部分をブロックして楽に禁煙　

　禁煙治療内服薬のチャンピックスは前者のニコチン依存症の部分をブロックして禁断症状無く楽に禁煙ができます。この薬はニコチンが作用する神経細胞に先回りしてニコチンの働きを邪魔しますので、喫煙しても美味しくありません。また結合した神経細胞から弱い信号を送ることで禁断症状を緩和します。しかも治療終了後も禁断症状は無いという非常に優れた薬です。ただし後者の精神的依存症の部分はカバーしませんので、開始前に自分の意志をしっかり持って、『禁煙するぞ！』という動機付けを充分行っていくことが大切です。現在世界中で多くの方がこのお薬で禁煙をしてみえます。治療成績は良好で約7割の方が禁煙に成功しています。

禁煙のきっかけを大切に

　最近は喫煙スペースも限られ、またたばこの値段も上がり経済的負担もばかになりません。禁煙のきっかけ（結婚、妊娠、病気、入院、転勤等）をうまく利用していただき、是非禁煙治療を積極的に受けられることをお勧めいたします。最近の民間健康保険では非喫煙の優良体では保険料の半額割引まで登場しています。また毎年5月31日が世界禁煙デーで今や禁煙は世界的潮流と言えます。