生活習慣病 |
糖尿病、高血圧症、高脂血症という動脈硬化の危険因子となる疾患の的確な診断・治療を行います。家族背景、全身の動脈硬化の評価等も参考として全身的管理を心掛けています。
「人は血管とともに老いる」これは、アメリカの内科医ウィリアム・オスラー博士の有名な言葉ですが、高齢化が急速に進んでいるわが国において、血管の老化、すなわち動脈硬化性の疾患の管理が益々大切になっていきます。
日本人の死因の1位は悪性腫瘍(癌)ですが、2位、3位は動脈硬化に起因する心疾患、脳血管障害であり、両者を合わせると全体の約30%を占めています。またこれらの疾患の患者数は増加の一途をたどっています。
いったん脳血管障害(脳卒中)である脳梗塞や脳出血を起こしてしまうと生活の質は格段に落ちてしまいます。実際寝たきりになる原因のトップは脳血管障害で約4割を占めます。
動脈硬化を悪化させる主たる原因は糖尿病、高血圧、高脂血症といういわゆる生活習慣病と言われています。そしてこれらの生活習慣病の治療の目的はひとえに加齢に伴って進行する動脈硬化を出来るだけ抑制していくことです。そのためにもまずご自身の動脈硬化の程度を把握しておくことがスタートラインと言えます。
当院での動脈硬化の評価は安静時血圧の他に血液中の高感度CRP値の測定や血圧脈波検査でスクリーニングし、年齢以上に動脈硬化が進行している疑いのある場合に更に頚動脈エコーで詳細な評価を実施しています。
(1)血圧脈波検査は、四肢の血圧を専用の装置で同時に測定することにより簡単に下肢の動脈の狭窄の有無や全身の動脈硬化(血管の老化、血管年齢)の程度を調べることが出来ます。
(2)頚動脈エコーも超音波を頚部に当てて調べる検査ですので体に負担の少ない楽な検査ですが、頚部の動脈の壁の厚さや血管内の動脈硬化の進行程度を詳細に観察することで、全身の動脈硬化の程度も推測することが可能な大変優れた検査です。(参考:頚動脈硬化netホームページ参照)
これらの検査はいずれも保険適応の検査ですので動脈硬化が疑われる方は保険診療で実施可能です。
(3)ロックスインデックス(LOX-index)という先進の血液検査では、動脈硬化の原因物質である変性LDLと結合する血管壁のLOX-1というタンパク質を測定することで、動脈硬化の進行から将来の脳卒中(脳梗塞、脳出血)、心筋梗塞といった動脈硬化性疾患の発症予測が可能です。
他の動脈硬化を調べる検査との違いは?
頸動脈エコーや血管の硬さ・詰まりを調べるABI/PWV検査で異常が出た場合は、すでに動脈硬化が進行しているため、予防へのアプローチが遅くなってしまいます。ロックスインデックスでは、血管が痛む危険性を調べ、より早い段階での動脈硬化の進行リスクを調べる事が可能です。
この検査方法は、日本人約2,500名を平均約11年間追跡調査した結果得られたデータをもとに実施されます。