がんのリスク検診 胃がんリスク検診(ABC検診)のご案内 |
高齢化社会を迎え、日本人男性の2人にひとり、女性の3人にひとりががんになる時代が来ました。がんになることはもはや特別なことではありません。しかし早期に発見できれば内視鏡治療など低侵襲治療を受けられ、完治する可能性も高くなります。胃がんを早期発見するためには検診を受ける必要があります。胃がんに現在なっているかどうかは胃レントゲン検査や内視鏡検査を受けなければ診断できません。しかし胃がんになりやすいかどうかは個々人で異なるので、予め自分が胃がんになるリスクが分かっていれば、内視鏡などの検診をどれくらいの間隔で受ければ良いのかの参考になります。胃がんはヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染と深く関わっています。ピロリ菌感染がない人は胃がんになることが少なく、ピロリ菌に感染すると慢性胃炎から萎縮性胃炎になり、さらに胃の粘膜の破壊が進行すると胃がんになる危険性が高くなってくることが知られています。ちなみに胃がんになるのはピロリ菌感染者全体のうちの0.4%というごく一部の方と言われています。
そこで胃がんになりやすさのリスクを、(1)血液中のピロリ菌の抗体価と、(2)胃の粘膜萎縮マーカーであるペプシノゲン値を測定し、この結果の組み合わせで胃の健康度をABCDの各群に分類(表1参照)するために開発されたのがこのABC検診です。この胃の健康度(胃がんになりやすさ)に応じて胃の精密検査(胃トーシや胃内視鏡)の間隔を設定し、より効率的な胃の検診を実施していく戦略です。従来の胃トーシ検診より効率的であり、また受検者が自分の胃癌危険度を自覚出来る非常にすぐれた方法ですが、残念ながらまだ開発されて数年であり、一般的な検診として普及するのはこれからのこととなります。従って未だ保険適応にもなっていないため、自費検査となりますが、一部の施設ではオプションとして健診に組み込まれたりしています。
あなたも是非胃がんになるリスクを検査してみてはいかがでしょうか。
(1)対象となる方
20歳以上の方(特に40歳以上の方にお勧めします)
(2)ABC検診の方法
簡単な1本の採血検査で血液中のピロリ菌の抗体価と胃の粘膜萎縮マーカーであるペプシノゲン値を測定します。約2週間ほどで結果が出ます。
ピロリ菌は幼少時に人に感染し、胃に住みつき、慢性胃炎を引き起こします。
ペプシノゲンとは胃の消化酵素の前駆体(もと)で、ペプシノゲンⅠとペプシノゲンⅡに大別されます。この両者を測定することで簡便に委縮性胃炎を診断出来ます。委縮性胃炎ではⅠの低下とⅠ/Ⅱの比の低下が認められます。
(3)ABC検診の料金
4,500円(任意検診ですので全額自己負担です)
この検診はあくまで無症状の方を対象にしています。腹痛等の症状のある方は保険診療の対象になりますので診察を受けて下さい。
(4)ABC検診の適さない方
・ 胃の病気の治療中の方や胃切除後の方
・ 胃酸を抑える薬を服用中の方
・ 腎不全の方
・ ピロリ菌の除菌治療を受けた方
(5)ABC検診実施後
結果をふまえて今後の治療方針について詳しくご説明いたします。
表1 胃がんリスク検診(ABC検診)
※自覚症状のある人、また過去5年以内に精密画像検査を受けていない人は必要。(2012)
参考:http://www.e-kenkou21.or.jp/wp/wp-content/uploads/2014/09/abc08251.pdf